カレンダーは巡り、劇中では春夏秋冬のイベントや学年行事が幾度となく繰り返される。それにもかかわらず、まる子たちが決して4年生へ進級しない理由はどこにあるのか。そこにはアニメーション表現における「サザエさん時空」と呼ばれる不変の時間軸の構造美がある。
本作の舞台は、厳密には「1974年(昭和49年)の清水市」にアンカーが降ろされている。物語は時間を前進させるためではなく、昭和40年代後半という日本の特定の一時代が持っていた温度感や、誰もが通過した子どもの視点を追体験するために紡がれている。進級を排除した固定化こそが、作品を「永遠の追体験型エンターテインメント」として機能させ、視聴者に安心感と普遍的な笑いを提供し続ける最大の仕掛けなのだ。