子供たちが誕生した2010年代初頭は、インターネット掲示板やSNS上で、いわゆる「キラキラネーム」に対する批判と擁護が最も激しくぶつかり合っていた時代でした。松嶋尚美の子供たちの名前も例外ではなく、命名直後は「初見で読めない」「将来苦労するのではないか」といった懐疑的な声がネット上で噴出しました。
しかし、単なる奇をてらったネーミングと松嶋家の命名には明確な一線を画す要素がありました。それは、単にキャラクターや西洋風の単語を強引に漢字へ落とし込んだのではなく、文字の持つ美的な情景と親の思想的バックボーンが一致していた点です。ヒサダトシヒロのロックカルチャーに根ざしたグローバルな世界観と、松嶋尚美の枠にとらわれない自由奔放なパーソナリティが調和した結果としての「じゅま」「らら」でした。
2020年代半ば以降、日本国内では戸籍法改正に伴い「氏名に用いる漢字の読み方の基準」が法制化され、過度な難読ネームへの規制議論が進みました。そうした公的な変化を経て改めて振り返ると、松嶋尚美の選択は「個人の尊厳と響きの美しさを追求した、時代に先駆ける試み」として、一定の社会的受容を獲得したといえます。