アクアリウムを始めて数ヶ月、緑色の斑点状コケ(スポット状藻類)や珪藻を退治するために導入した石巻貝が、夜間に無数の白い粒を産み付けるケースが後を絶ちません。愛好家の間では「水槽の白ごま病」などと揶揄される現象ですが、これは病気や寄生虫ではなく、成熟したメスの石巻貝による正常な繁殖行動です。
石巻貝の卵は、専門的には「卵嚢(らんのう)」と呼ばれます。カプセル状の強固な殻の中に数十個から百個以上の微小な受精卵が包まれており、外敵や水流から保護される構造になっています。水槽飼育下では、水温が22℃〜26℃の安定した環境下で活発に産卵が行われ、流木の窪み、水草の硬い葉、ヒーターの配線、さらには他の貝の殻の上にまで産み付けられます。
抜群の石巻貝のコケ取り効果はアクアリウム業界でも折り紙付きであり、ガラス面を滑走しながら茶ゴケや頑固な緑ゴケを削り取る能力はトップクラスです。しかし、その代償として支払う「景観へのダメージ」は極めて大きく、水草レイアウトコンテストの上位を目指す水景クリエイターの間では、導入に慎重な判断を下すケースが定着しています。