夏祭りの浴衣と違い、旅館の浴衣には腰紐がなく、帯一本で着崩れを防がなければなりません。そこで重要になるのが、最初の「丈(身丈)の合わせ方」と「帯を締める位置」です。
温泉浴衣は丈をたくし上げて調整する「おはしょり」を作らず、裾をそのまま下ろして着用する「対丈(ついたけ)」で作られています。そのため、着用前のサイズ選びが仕上がりの8割を左右します。温泉浴衣の丈の合わせ方の基準は、男女ともに「くるぶしが見え隠れする高さ」です。裾が床について引きずってしまう場合はワンサイズ小さいものを仲居やフロントに頼み、逆にすねが露出するほど短い場合は大きめの浴衣へ交換を依頼するのが鉄則です。
丈を合わせたら、男女それぞれの体型と所作に合わせた帯の締め方に進みます。
温泉浴衣の帯の結び方(男性)は、帯を2周巻きつけた後、結び目が平たく固く締まる「貝の口」が理想ですが、慣れない場合は固結びでも十分です。ポイントは「おへその下、骨盤に引っ掛けるように低く巻く」こと。これにより、重心が下がって男性特有のどっしりとした風格が生まれます。
一方、温泉浴衣の帯の結び方(女性)は、ウエストの最も細い部分よりわずかに上で締めます。蝶結びにした後、余った羽や垂れを帯の内側に挟み込むと、食事中に結び目が解ける心配がありません。結び目を真ん中から時計回りに回して右脇の前あたりに逃がすと、上品でこなれた印象を与えられます。