大谷投手のピッチングの現在地を語る上で欠かせないのが、球威と変化球のクオリティです。術後のブルペン投球および実戦登板テストにおいて、フォーシームの最速球速はすでに100マイル(約161km/h)の大台を記録しており、術前と何ら遜色のない球威を取り戻しています。
特に注目すべきは、右打者の外角へ大きく横滑りする魔球「スイーパー」と、打者の手元で鋭く落ちる「スプリット」の軌道です。2023年以前の大谷投手は、スイーパーの被打率が1割台前半という異次元の威力を誇っていましたが、手術を経た現在もボールの回転軸と水平変化量(横曲がり)の数値はメジャートップクラスを維持しています。
肘への負担を軽減するため、投球フォームには微細なアジャストが施されました。テイクバック時の腕の軌道をわずかにコンパクトにし、下半身の並進運動から得られるエネルギーを効率よくボールへ伝えるバイオメカニクス的アプローチを導入。これにより、肘にかかるストレスを分散させながら、球速とキレを極限まで引き出すピッチングスタイルを確立しています。