2023年の映画界において最大の激震となったのが、日本テレビによるスタジオジブリの子会社化です。2023年9月21日に行われた緊急記者会見において、日本テレビがスタジオジブリの株式を取得し、筆頭株主として経営を支援していく方針が正式発表されました。この歴史的出来事は、金曜ロードショーという番組枠が築き上げてきた信頼関係の延長線上に存在しています。
1985年の日本テレビ初放送以来、日本テレビはスタジオジブリ作品の放映権を独占的に保有し、宮崎駿監督や鈴木敏夫プロデューサーの創作活動を資金面・宣伝面で支え続けてきました。2023年7月14日に公開された『君たちはどう生きるか』は、事前プロモーションを一切行わない「宣伝なし」という異例の戦略が取られましたが、その公開時期に合わせて金曜ロードショー側では計算し尽くされたジブリ作品放送日程が組まれていました。
公開前週の7月7日に宮崎アニメの原点である『風の谷のナウシカ』、公開当日の7月14日には宮崎吾朗監督・宮崎駿企画の『コクリコ坂から』、そして翌週7月21日に大作『もののけ姫』を配置。世間の関心を自然とジブリの歴史へと誘導し、一切の予告映像を出さない新作映画への興味を間接的に煽るという、極めて高度なメディア・アライアンスが展開されました。過去の放送履歴一覧を遡っても、ここまで映画興行と放送枠が阿吽の呼吸で連動した事例は類を見ません。