通信インフラを担う大手キャリアも手をもごもごさせているわけではない。NTTやKDDI、ソフトバンクなどは、通話回線上に直接AIセキュリティレイヤーを組み込む実証実験を加速させている。悪質なディープフェイク音声や詐欺特有の会話パターンをリアルタイムで検知すると、画面上に警告を表示したり、自動的に通話を遮断したりする機能だ。
「通信の秘密」との兼ね合いが議論を呼んだものの、プライバシーに配慮したオンデバイス処理(端末内解析)技術の開発により、法的なハードルもクリアされつつある。技術開発を担当するエンジニアは「受話器を取る側が無防備なまま晒される時代を終わらせる」と意気込む。安全な音声通話環境の再構築は、今や通信事業者の最優先課題となっている。