異色の超大作『多夢多夢』が仕掛ける罠と映像界を揺るがす真相

異色の超大作『多夢多夢』が仕掛ける罠と映像界を揺るがす真相

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日本のアニメーション史を振り返れば、情緒豊かな自然描写と普遍的な人間賛歌で頂点を極めたスタジオジブリの黄金期があり、圧倒的な色彩美と個人の繊細なモノローグで時代を射抜いた新海誠監督の台頭があった。しかし、本作が提示するビジュアルスタイルは、そうした巨匠たちの文脈を巧みに踏まえつつも、全く異なる地平へと踏み出している。

光の乱反射、不規則に歪むパースペクティブ、そして実写フィルムの粒子感をあえてデジタル合成したハイブリッドな質感。観客は美しい風景に癒やされるのではなく、美しさに潜む狂気に呑み込まれる。制作現場のクリエイターが「これまでの成功フォーマットを一度完全に解体した」と語る通り、劇場のスクリーンに広がる光景は、観客が慣れ親しんだアニメの安全圏を容赦なく剥ぎ取っていく。

小林 直樹
著者

小林 直樹

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。