物語の舞台として選ばれたのは、巨大なネオンの海と薄暗い路地裏が隣り合わせに存在する東京都。見慣れた都会の風景が、監督のレンズを通すことで不穏な気配を孕んだ異空間へと昇華されている。寒々とした都市の孤独を背景に展開するサスペンス・スリラーは、観客の神経を心地よく摩耗させていく。
これまで世界市場で苦戦を強いられることも多かった日本映画だが、本作はその壁を容易く打ち破るポテンシャルを秘めている。光と影を巧みに操るシネマトグラフィー、緻密な音響設計、そして無駄を削ぎ落としたテンポ感。すべてがグローバル水準で研ぎ澄まされた最高傑作の誕生だ。