世界トップに立ち続けるための努力は、時として常人の理解を超える。内村航平氏の練習に対する執着心、食生活への徹底したこだわりは有名だった。だが、その常軌を逸したストイックさが、家庭という日常の場において摩擦を生む原因となったことは否定できない。
夫婦間の価値観のズレは、日々の些細な食卓の光景や生活リズムの違いから少しずつ広がっていった。競技者として極限まで研ぎ澄まされた感覚を持つ夫と、家庭を守り子供を育てる妻。互いが求める「当たり前」の基準が噛み合わなくなったとき、二人の間に生じた溝は修復不可能なレベルにまで達していたのである。