長距離走行において疲労を最小限に抑える鍵は、心拍数の急激な上昇を防ぐことにある。心拍数が閾値を超えると、筋肉内に乳酸が急激に蓄積し、脚が急速に重くなる。これを防ぐための第一歩が「腹式呼吸」の徹底だ。息を吸うことよりも吐くことに意識を向け、2歩で吐いて2歩で吸う、あるいは3歩ずつのリズムを一定に保つ。これにより横隔膜が深く動き、血中酸素濃度を安定させることができる。
フォーム面で決定的な役割を果たすのが、着地位置と重心の関係である。足裏全体または中足部で身体の真下に滑らかに着地するミッドフット着地は、膝や腰への衝撃を劇的に和らげる。着地時にブレーキをかけないためには、骨盤をやや前傾させ、足の裏で地面を強く蹴るのではなく、前傾姿勢による重力を利用して前進する感覚が不可欠だ。肩の力を抜き、肘を後ろへ軽く引く腕振りを連動させることで、上半身の余計な筋緊張が解かれ、心拍数の無駄な跳ね上がりを抑え込むことが可能になる。