数ある市販薬の中でも、長年にわたり依存患者の間で支持されてきたのがエスエスブロン錠である。もともとは咳に苦しむ患者の症状を和らげるために開発された優れた医療用配合剤であり、半世紀以上にわたって家庭の常備薬として親しまれてきた。しかし、その高い鎮咳効果と入手性の良さが、皮肉にも乱用者たちの標的となってしまった歴史がある。
この問題はエスエス製薬株式会社をはじめとする製造メーカーにとっても深刻な課題だ。本来の目的で薬を必要とする患者への供給を維持しつつ、乱用目的での購入をいかに防ぐかという難しい舵取りを迫られている。日本の製薬産業全体が、製品の安全性確保と適正使用の啓発に向けて、かつてない社会的責任を問われている状況だ。