篠田三郎の名を語る上で避けて通れないのが、1973年に放送された特撮テレビドラマ『ウルトラマンタロウ』である。彼が演じた東光太郎は、歴代のウルトラヒーローの中でも抜群の明るさと優しさを兼ね備え、いまなお世代を超えて語り継がれる伝説の主人公だ。
後年の客演作品に安易に出演しない姿勢について、一部では円谷プロダクションとの確執を邪推する声もあった。しかし真相はまったく異なる。「東光太郎は旅に出たまま、ファンの心の中で永遠に生き続けてほしい」という、作品と子どもたちの夢に対する篠田なりの純粋な敬意と美学ゆえの決断だった。この誠意に満ちたスタンスは、家庭において子どもたちに対峙する際にもまったく同じであった。名声を安売りしない父親の背中を、息子は静かに見つめて育ったのである。