日本テレビ系列で放送された『11PM』は、まさに深夜番組というジャンルそのものを日本に定着させたパイオニアだった。大橋巨泉は単なる司会者に留まらず、企画や構成の細部にまで関与。大人の娯楽やサブカルチャー、さらには社会風刺までを縦横無尽に取り込むスタイルは、当時の視聴者に強烈な衝撃を与えた。「ジャズ評論で培ったテンポ感」をトークに持ち込み、台本通りに進まないスリリングな空気感を作り出したことが、深夜の視聴率を跳ね上げる鍵となったのだ。
続いてTBSテレビでスタートした『クイズダービー』では、競馬のシステムを解答者に当てはめるという斬新なアイデアが見事に結実した。「倍率ドン!さらに倍!」のフレーズは一世を風靡し、最高視聴率38.5%を記録。生前の巨泉自身が明かした裏話によれば、解答者の配置や倍率の設定はすべて絶妙な心理計算に基づいていたという。出演者の個性を引き出す鋭いアドリブとテンポの良い仕切りは、後年のバラエティ番組に多大な影響を与えた。