ネット上では長年「事務所の大人たちから見せしめとして強要されたのではないか」という陰謀論が囁かれてきましたが、峯岸さん自身が後年の自著や特番インタビューで語った真実は、さらに切実なものでした。
極限の孤立とパニックが生んだ「自己処罰」
報道前夜、事務所関係者からの連絡で記事の掲載を知った彼女の頭を支配したのは、「これまで積み上げてきたAKB48での居場所が明日ですべて消えてしまう」という底知れぬ恐怖でした。自著や手記の記述によると、誰かに相談すれば止められると分かっていたからこそ、自室の洗面所で衝動的にハサミを入れたといいます。
これは心理学的に「アパシー(無気力)状態の極限で発生する、極端な自己処罰による所属維持行動」と説明されます。反省の深さを身体的に可視化しなければグループに残る権利すら得られないという、当時のAKB48が醸成していた過度な連帯感と自己犠牲精神が、20歳の少女をその行動へと駆り立ててしまったのです。
ウィッグ着用で舞台に立ち続けた「1年半の贖罪」
事件後、峯岸さんはウィッグ(かつら)をかぶり、髪が自然なショートヘアに伸びるまでの約1年半以上、研究生公演の舞台に立ち続けました。劇場公演のMCで共演者から髪型をいじられる屈辱に耐えながら、新世代のメンバー(岡田奈々さん、小嶋真子さん、西野未姫さんら)を献身的に支えた姿勢は、次第に批判一色だったファンコミュニティの空気を「応援」へと変えていきました。