中目黒店がこれほどまでに人々の記憶に刻まれている最大の理由は、他店では絶対に替えがきかない突出した商品開発力にありました。その二大巨頭が「ゆずつけ麺」と「濃厚チーズソースつけ麺」です。
創業期からの屋台骨であるゆずつけ麺は、豚骨と丸鶏をベースに香味野菜と魚介を合わせた重厚なスープに、高知県産の上質な天然柚子油を合わせた逸品です。濃厚つけ麺が全国を席巻していた2000年代後半から2010年代にかけて、動物系の力強さと柑橘系の清涼感を高次元で両立させたアプローチは、濃厚魚介豚骨特有の「後半の食べ飽き」を見事に解消し、女性層やライト層を中目黒の店舗へ呼び込む決定打となりました。
そして、ラーメン・つけ麺業界に革命をもたらしたのが、三ツ矢堂製麺 チーズつけ麺 評判の火付け役となった「濃厚チーズソースつけ麺」です。このメニューが秀逸だったのは、チーズをスープに溶かすのではなく、「別添えの特製温製チーズソースをあらかじめ極太麺に直接回しかけ、麺単体でチーズパスタのように絡めた上で、魚介豚骨スープに潜らせる」という前代未聞のオペレーションを確立した点にあります。
特製チーズソースのコク、自家製麺の小麦の甘み、そしてつけ汁の酸味と柚子の香りが口の中で一体化する立体的な味覚体験は、当時のテレビ番組やグルメ雑誌で幾度となく特集されました。さらに、同店では麺の締め方を「熱もり」「ぬめり落とし(人肌)」「冷やもり」「氷締め」の4段階からミリ単位で指定できるシステムを採用しており、チーズの絡み具合と麺のコシを自分好みにカスタマイズできる楽しさが、熱狂的なリピーターを生み出す源泉となっていました。