折原みとの代表作として真っ先に名が挙がるのが、金字塔的作品『時の輝き』だ。看護師を目指す主人公と、難病を抱えた青年との切なくも美しい愛を描いた本作は、小説のみならず映画化や実写ドラマ化など多角的な展開を見せ、社会現象となった。
しかし、この名作誕生の裏には、多忙を極めるスケジュールと命がけの試行錯誤があった。連載当時、漫画の原稿締め切りに追われながら小説の執筆を進めるという過酷な環境の中にいた。睡眠時間を削り、文字通り身を削りながら生み出された原稿には、作者自身の生々しい感情の揺らぎが刻み込まれていた。
特に話題を呼んだ医療描写や心理描写のリアリティは、徹底した取材と当事者へのヒアリングに基づいていた。ただ甘いだけの恋愛小説ではなく、命の尊さや生きることの意味を正面から問う重厚なテーマ性。これこそが、少女層にとどまらず幅広い年代の心を揺さぶった『時の輝き』の真骨頂だった。