モンスターのカフェイン量は危険?致死量や死亡事故の真相を徹底解説

モンスターのカフェイン量は危険?致死量や死亡事故の真相を徹底解説

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SNSやネット掲示板のまとめ記事などでは、定期的に「モンスターエナジーの飲み過ぎで心臓麻痺」「海外で若者が即死」といったセンセーショナルな見出しが拡散されます。しかし、こうした話題において最も欠落しているのは「法医学的見地に基づく摂取状況と個人の身体条件」の詳細な検証です。

まず、薬理学におけるモンスターエナジーの致死量の計算から整理します。日本中毒学会や法医学の学術報告によると、一般的な健康な成人におけるカフェインの経口致死量は、純粋なカフェイン量としておおむね5,000mg〜10,000mg(5g〜10g)とされています。短時間で重篤な中毒症状を引き起こす危険ラインとされる血中濃度を踏まえても、最低3,000mg(3g)以上の単回摂取が必要です。

この数値を355ml入りのモンスターエナジー(142mg)に換算すると、致死量に達するためには短時間のうちに最低でも21缶〜70缶を一気飲みしなければならない計算になります。成人の胃の最大許容量が約1.5〜2リットル程度であることを考えれば、液体だけで純粋なカフェイン致死量に物理的に到達することは極めて非現実的です。水分過多による低ナトリウム血症(水中毒)や嘔吐反射が先に発生するため、通常の飲用形態で事故に至ることは考えにくいのです。

では、世界的な波紋を呼んだモンスターエナジー死亡事故の真相とは何だったのでしょうか。最も有名なケースは、2011年に米国メリーランド州で14歳の少女がモンスターエナジーを飲用した後に心不整脈で死亡し、遺族がメーカーを相手取って訴訟を起こした事例です。当時の米国FDA(食品医薬品局)の調査記録や現地法廷の公判資料を精査すると、少女が飲用していたのは日本未発売の超巨大缶「スーパープレミアム(24オンス=約710ml)」であり、これを24時間以内に2缶(合計約500mg弱のカフェイン)連続で飲んでいました。

さらに決定打となったのは、少女が先天性の結合組織疾患である「エーラス・ダンロス症候群」を患っており、元より血管や心臓弁に脆弱性を抱えていたという医学的事実です。基礎疾患を持つ未成年者が、体重比で許容量を遥かに超えるカフェインを急速摂取したことで血管収縮と悪性不整脈がトリガーされたというのが、法医学的な真相でした。

また、2015年に日本国内で報告された20代男性のカフェイン急性中毒死事例(国内初の中毒死報道)についても、メディアの「エナジードリンク中毒で死亡」という煽り文句が一人歩きしました。しかし、厚生労働省および担当法医学教室の分析発表によると、男性は深夜勤務の眠気を凌ぐためにエナジードリンクを併用していたものの、直接の死因となったのは市販の眠気覚まし用カフェイン高容量錠剤(1錠あたり100〜200mg含有)の大量連日服用による血中濃度の急上昇でした。胃からは砕けた錠剤の残渣が多数発見されており、清涼飲料水単体での中毒死ではなかったのです。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。