『あの夢をなぞって』の切ない真相と原作の結末・予知夢の伏線を考察

『あの夢をなぞって』の切ない真相と原作の結末・予知夢の伏線を考察

『あの夢をなぞって』の切ない真相と原作の結末・予知夢の伏線を考察にまつわる興味深い視点を分かりやすく発信ます。

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YOASOBIの『あの夢をなぞって』を真に理解する上で欠かせないのが、原作公募企画「ソTaskList」大賞受賞作であるいしきまゆ氏の小説『夢の雫と星の花』です。物語の主人公・双葉(ふたば)は、代々「予知夢」を見る能力を受け継ぐ家系に生まれた女子高生。ある夜、彼女は幼馴染である亮平(りょうへい)から「花火大会の夜に告白される」という予知夢を見ます。

しかし、この能力には残酷なルールが存在していました。それは「予知夢は確定した未来ではなく、本人の行動や心の迷いによって容易に外れてしまう」という点です。もし自分が夢の通りに行動しなければ、あるいは告白を恐れて逃げ出せば、二人の関係は予知夢が外れると同時に永遠に失われてしまうかもしれない――という強い焦燥感が双葉を襲います。

迎えた花火大会の夜、亮平から神社の裏山へと呼び出された双葉は、夢と寸分違わぬ光景に息を呑みます。原作の結末における決定的なポイントは、双葉がただ告白を待つ「受動的なヒロイン」にとどまらなかった点にあります。打ち上がる大輪の花火の轟音に亮平の声がかき消されそうになった刹那、双葉は自ら亮平の手を取り、夢のシナリオを自らの手で手繰り寄せるように想いを受け止めます。

「夢をなぞる」という言葉は、敷かれたレールの上を歩くことではなく、「予知夢という不確かな希望を、自らの勇気によって現実の奇跡へと昇華させる決意」を意味していたのです。この切なくも力強い結末構造こそが、楽曲のドラマ性を極限まで高めています。

佐藤 大輔
著者

佐藤 大輔

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