健康保険の役割は、日常の医療費負担を軽減するだけに留まりません。「働けなくなったときの生活保障」というセーフティネットの観点でも、両者の間には見過ごせない格差があります。
社会保険に加入している会社員の場合、業務外の病気やケガで連続して3日以上休職した際には、4日目から最長通算1年6か月にわたり給与の約3分の2が非課税で支給される「傷病手当金」を受け取れます。また、産前産後休業を取得した際にも同様に給与相当額が補填される「出産手当金」が用意されています。
これに対し、国民健康保険にはこれらの所得補償制度が原則として備わっていません。フリーランスや個人事業主が重病で長期入院を余儀なくされた場合、医療費の窓口負担は抑えられても、休業中の収入減を補填してくれる公的給付はゼロです。自営業者が民間の所得補償保険や就業不能保険への加入を検討しなければならないのは、まさにこの国保の構造的リスクを埋めるためです。