皮膚が治っていく過程において、患者が陥りがちな落とし穴について、医療の第一線で発信を続ける専門医も警告を鳴らしている。近畿大学医学部皮膚科学教室の主任教授である大塚篤司医師は、SNSや著作を通じて皮膚病治療の最新知見を分かりやすく発信しているトップランナーのひとりだ。
大塚教授らが指摘するのは、「感覚の回復」と「組織の回復」にはタイムラグがあるというリアリティだ。治療を開始すると、まず主観的な「痒み」が速やかに減少する。しかし、痒みが消えたからといって、破壊された皮膚のバリア機能が即座に完璧な状態へ戻ったわけではない。見た目上の変化と、ミクロな皮膚細胞の再構築には時間のずれが存在するのだ。
痒みが止まった段階で自己判断により塗布をやめてしまうと、バリア未完成の無防備な皮膚に再び外部刺激が加わり、瞬く間に再燃を引き起こす。見た目が綺麗になった後も、一定期間はスキンケアと保護を徹底し、皮膚の深部まで完全に修復させる根気が求められる。