厨房から聞こえる軽快な包丁の音。そして板の上に踊る、つややかな魚身。今回、本紙の単独取材によって明らかになったのは、表面的な流行にとどまらない職人の凄みだ。店内に並ぶ魚介はどれも、その日の最高の状態を見極めて供される。
「その季節、その日の天候や潮の流れで魚の身の締まりはガラリと変わる。数値化できないその差を感じ取るのが僕らの仕事です」と店主は語る。看板である極上の鮮魚はもちろん、知る人ぞ知る隠れた名物惣菜や煮付けのコク深さには、長年培われた職人技が凝縮されている。一口含めば、脂の甘みと豊かな磯の香りが口いっぱいに広がり、訪れた人々を虜にするのも頷ける。