最大のメリットは、生後1年間のパピー期に培われた圧倒的な社会化経験だ。電車や車の走行音、見知らぬ人々が行き交う雑踏、動物病院の待合室など、人間社会のあらゆる刺激に慣らされている。過剰な無駄吠えや攻撃行動のリスクが極めて低く、人間に対する深い信頼感の土台がすでに完成している点は、一般的な子犬育てにはない大きな利点といえる。
一方で、盲信は禁物だ。「盲導犬の訓練を受けたから何もしなくても完璧」という期待は、しばしば現実と衝突する。訓練所を離れて一般家庭の甘やかな環境に入れば、拾い食いを試みたり、興奮して飛びついたりといった生来の行動が顔を出すこともある。パピーウォーカーや訓練士が紡いできた良質な習慣を維持できるかどうかは、迎えた家族が毅然としたリーダーシップと一貫した愛情を注ぎ続けられるかにかかっている。