カフェインを口にした際、頭痛が軽快するか悪化するかを決定づけているのは、「脳血管の収縮と拡張」という血行動態の激しい変化です。カフェインには脳の血管を取り巻くアデノシン受容体に結合し、血管を一時的にキュッと縮める強力な血管収縮作用があります。
脈打つような激痛を伴う「片頭痛」は、脳の血管が急激に拡張して周囲の三叉神経を刺激することで発生します。そのため、発作の初期段階で適量のカフェインを摂取すると、広がった血管が収縮し、片頭痛への一定の鎮痛効果を発揮します。市販の頭痛薬に無水カフェインが配合されているのはこのためです。
しかし、問題は「毎日コーヒーを2〜3杯以上飲み続けている人」の体内で起きる適応現象です。日常的にカフェインを入れ続けると、脳は無理に血管を広げようとして受容体の数を増やします。その結果、血中濃度が低下した瞬間に反発的な急激な血管拡張(リバウンド)が起こり、脈打つような激しい頭痛が誘発されます。これが「コーヒーを飲まないと頭痛がする」「飲むと一瞬治るが悪循環に陥る」という悪化の根本理由です。