栃木県を代表する特産品として知られる夕顔(かんぴょう)。その果肉を削り取った後に残る果皮をしっかりと天日乾燥させ、強固な殻となったものを素材とするのが「ふくべ」の原点だ。一般的な瓢箪工芸と比べても圧倒的な肉厚さと豊かな膨らみがあり、彫刻やくり抜きに耐えうる堅牢さを備えている。
この殻の内外に幾重にも下地を施し、絵の具や漆を重ねて磨き上げる工程は、日本の民芸品・漆工芸の系譜に連なる重厚な手仕事だ。栃木県伝統工芸品振興協議会による長年の支援と規格保護のもとで、素材の選別から乾燥管理、最終研磨に至るまでの厳密な基準が守り継がれてきた。乾燥だけで数カ月を要するその素材は、ひとつとして同じ形が存在しない。その「計画できない丸み」こそが、クリエイターたちの創作意欲を激しく刺激している。