リオデジャネイロ五輪後、日本女子バレー史上で初めて女性として代表監督に就任したのが中田久美だ。自身も天才セッターとして活躍した経験を持ち、鋭い勝負勘と厳格な自律をチームに求めた。自国開催となった東京2020大会での重圧、そしてパンデミックによる1年の延期という前例のない試練のなか、中田は最後まで自らの哲学を貫こうとした。
結果としてのメダル獲得は叶わなかったものの、女性指導者としての道を拓き、セッター視点からの繊細な戦術思想を注ぎ込んだ彼女の挑戦は、女子バレー界の多様性と成熟を示す重要なエピソードとして記憶されている。