昭和の名作ドラマ『池中玄太80キロ』などで見せた愛くるしい笑顔。視聴者の記憶に残り続ける坂口良子さんの女優像だ。だがカメラがオフになると、彼女は元夫の遺した途方もない借金返済に追われる一人の母親だった。昼夜を問わず仕事を詰め込み、過密スケジュールをこなしながらギャラを返済に充てる過酷な日々が続いた。
幼少期の娘の目に映っていたのは、疲弊しながらも必死に笑う母親の姿だ。家計の厳しい実情と「有名女優の娘」という周囲からの勝手なイメージ。この歪んだギャップこそが、後に彼女を精神的に追い詰める原因となっていく。母親が急逝した際、心の拠り所を完全に失った彼女の感情は一気に崩壊へと向かった。