「食事をしていないのに胃がパンパンに張る」「ゲップ出ない胸の圧迫感で息が浅くなる」という症状の背景には、医学的に呑気症(どんきしょう/空気嚥下症)と呼ばれる状態が深く関わっています。日本消化器病学会の報告などでも指摘されている通り、胃内のガスの約70%は口から飲み込んだ空気で占められており、食物の発酵によって生じるガスはごく一部に過ぎません。
大人が日常的に大量の空気を呑み込んでしまう主な空気嚥下症原因には、生活習慣や作業環境に潜む明確なパターンが存在します。
典型的な要因が「TCH(Teeth Contact Habit:歯列接触癖)」です。通常、人間の上下の歯は安静時には1〜2ミリ離れていますが、パソコン作業やスマートフォンの操作、あるいは精神的ストレスに晒されているとき、無意識に上下の歯を接触させ続けてしまう人がいます。歯が触れ合うと無意識に唾液を飲み込む嚥下反射が引き起こされ、そのたびに微量の空気が胃へ送り込まれてしまいます。1回の空気量はわずかでも、数時間継続することで数百ミリリットルもの空気塊が胃内に蓄積し、重篤な胃膨満感を生み出すのです。
さらに、胃と食道のつなぎ目にある下部食道括約筋が自律神経の過剰な興奮(交感神経優位)によって緊張すると、空気の逆流弁が固く閉ざされ、胃の中に空気が閉じ込められたまま出せなくなってしまいます。