結論から明確にお伝えすると、ポリゴンショックによる死亡者は1人も確認されていません。自治省消防庁(現・総務省消防庁)および警察庁、厚生省(現・厚生労働省)の調査記録において、この事故に起因する死者の報告はゼロです。
当時の報道各社によるポケモンショックの当時のニュースを振り返ると、1997年12月16日の夜、テレビ東京系列で放送された第38話「でんのうせんしポリゴン」の終盤(18時51分頃)を境に状況は一変しました。番組を視聴していた児童を中心に、吐き気、頭痛、めまい、意識障害、けいれんなどの症状が相次いで発生。全国の消防署に救急要請が殺到し、最終的な病院への搬送人数は685人(うち入院が必要となった重症者は200人以上)に達しました。
では、なぜ「死亡者が出た」という噂が現代まで語り継がれているのでしょうか。その背景には3つの要因が存在します。
- 海外メディアによる過激な見出し:アメリカのCNNや大手タブロイド紙が「Monster Panic」「Killing Cartoon」といったセンセーショナルな表現で速報を流した際、文脈が曲解されて伝播したこと。
- 学校現場での口コミの誇張:翌朝の小学校や幼稚園で「〇〇君が倒れて死にかけたらしい」という目撃証言が尾ひれをつけて広がり、都市伝説化したこと。
- 緊急特番の重苦しい空気感:NHKや民放各局が一斉にトップニュースで報じ、翌日の新聞各紙が一面トップで「アニメ画面で集団発作」と大々的に取り上げたことで、視聴者に「死者が出てもおかしくない大惨事」という強烈な心理的恐怖を植え付けたこと。
救急搬送された子供たちの多くは数日から1週間程度で無事に回復・退院しており、最悪の事態は免れました。しかし、ポリゴンショック被害の全貌が示す通り、同時多発的に数百人が昏倒した光景は、日本のアニメ史における最大の惨事として記憶されることになったのです。