なぜ「トイレットペーパーがない」デマは拡散?発信源の正体と買い占めの真相

なぜ「トイレットペーパーがない」デマは拡散?発信源の正体と買い占めの真相

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騒動の渦中、ネット掲示板やSNSではどのような言説が飛び交っていたのでしょうか。当時の買い占めネットの反応まとめを振り返ると、世論は大きく3つのグループに分かれて対立していました。

第1は、「デマに踊らされて買い占める人間は愚かだ」という猛烈な批判層です。5ちゃんねるやSNSでは、カートいっぱいにトイレットペーパーを積み上げた買い物客の写真が無断撮影されて晒され、フリマアプリで1パック数千円の法外な価格で出品する転売ヤーへの怒号が吹き荒れました。

第2は、「デマだと分かっていても買わざるを得ない」という防衛層です。Yahoo!知恵袋やコミュニティサイトには、「家にある残りロールが1個しかない。デマだと知っているが、今夜店に行かないと本当に拭くものがなくなる」という切実な悲鳴が殺到しました。この心理こそが、パニックを不可逆的なものにした最大の要因です。

社会心理学において、これは「囚人のジレンマ」および「予言の自己成就」と呼ばれます。個々の消費者が「自分だけは冷静でいよう」と考えても、他者が買い占めに走れば物理的に棚は空になります。他者が非合理な行動を取る状況下では、自分自身も非合理な行動(買い占め)に加担することが、個人にとっての「最適解」になってしまう構造的罠が存在したのです。

さらに、空っぽになった棚の写真を誰かがSNSに投稿し、「本当に売っていなかった」と拡散することで、まだ行動を起こしていなかった層に「社会的証明」が働き、さらなる行列を生み出していきました。

伊藤 翔太
著者

伊藤 翔太

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。