本作の原作である柚月裕子の同名小説は、名作『仁義なき戦い』のオマージュであり、昭和の広島で実際に起きた「広島抗争」をモチーフに構想されました。架空の都市「呉原市」は広島県呉市をモデルとしており、当時の生々しい空気感が巧みに再現されています。
劇中に登場する暴力団組織「尾谷組」や「五十子会」は、実在した「美能組」や「山村組」などの力関係や事件の構図を彷彿とさせます。また、役所広司が演じた大上章吾にも、当時実在した型破りな「ヤクザ担当刑事(マル暴)」たちのエピソードが色濃く反映されています。暴力団員と兄弟盃を交わすかのように懐に飛び込み、情報提供者(S)を手なずけて事件を未然に防ぐ――コンプライアンス以前の昭和警察が持っていた危ういリアリティが、物語に圧倒的な説得力を与えています。