第一三共の今後の見通しを語る上で欠かせないのが、世界のがん治療体系を根底から塗り替えつつある抗体薬物複合体(ADC)フランチャイズの進展です。報道各社および公式発表資料によると、主力製品である「エンハーツ(Enhertu / 一般名:トラスツズマブ デルクステカン)」は、世界最大の人口規模とがん患者数を抱える中国市場において、HER2陽性の進行・再発乳がんを対象とした承認を獲得しました。中国での保険収載や市場浸透は、同社の業績曲線をさらに急角度で押し上げる起爆剤となっています。
第一三共の強みは、エンハーツ単体にとどまりません。英アストラゼネカとの共同開発・販促パートナーシップをはじめ、米メルク(MSD)と締結した大型提携に基づく3つの次世代ADC(パトリツマブ デルクステカン等)の開発が佳境を迎えています。第一三共の独自技術である「DXd技術(薬物抗体比率の最適化とバイスタンダー効果)」は、世界のメガファーマを圧倒する創薬プラットフォームとして確立されました。
2026年の市場コンセンサスにおいて、第一三共の売上収益における海外比率は約80%に迫る勢いを見せています。米国バイオ医薬品指数(NBI)やメガファーマ(メルク、ファイザー、アストラゼネカ)の株価トレンドと連動性を強めているのは、同社がもはや「日本の内需型製薬株」ではなく、「世界のバイオテックの先頭集団」としてプライシングされている動かぬ証拠です。