親知らず抜歯後の臭いの中で、最も警戒すべき病態がドライソケット(歯槽骨炎)です。通常であれば抜歯窩を保護するはずの血餅が、過度なうがいや舌での接触、血行不良などによって脱落・融解し、下部にある歯槽骨がむき出しになってしまう状態を指します。
ドライソケットに陥ると、骨の表面が直接口腔内の細菌に晒されるため、単なる不快感を超えた鼻を突くような強烈な腐敗臭が発生します。さらに、術後3〜5日目あたりから「何もしなくてもズキズキと激しく痛む」「痛み止めがまったく効かない」「痛みが耳やこめかみ、顎の下まで放散する」といった耐え難い症状を伴うのが典型的な特徴です。
また、ドライソケットとは別に、細菌感染による化膿(感染症)が進行しているケースもあります。以下の症状が見られる場合は、組織深部への感染拡大を防ぐため、速やかな歯科受診が必要です。
親知らず抜歯後の感染症・危険サイン:
・抜歯窩から白濁した膿(うみ)が出る、または口の中に苦い液体が滲み出てくる
・抜歯後4日以上経過しても頬や顎の腫れ・硬結(しこり)が悪化している
・37.5度以上の発熱や全身の倦怠感、開口障害(指が2本以上入らない)が続く
・口臭が日を追うごとに強まり、周囲からも指摘されるレベルに達している