メーカー側が主張する空間除菌の仕組みは、有効成分である二酸化塩素ガスを空間内に放出させ、浮遊するウイルスや菌の構造を破壊するというものだ。ミクロの視点で見れば、化学反応としての殺菌作用自体は否定できない。試験管の中や狭いアクリルケースの中であれば、優れた効果を発揮するのは紛れもない事実である。
問題は、人間が暮らす部屋の広さと環境条件だ。人間の呼吸器に悪影響を与えない安全な濃度範囲内で、部屋の隅々まで均一に成分を届かせることは容易ではない。ドアを開ければ空気は入れ替わり、エアコンの風で濃度は偏る。安全性と有効性という相反する条件を同時に満たすハードルは、想像以上に高い。