現代のシノギにおいて、最も深刻な社会問題となっているのが特殊詐欺と闇バイトの実態です。裏社会は今や、組織の構成員を動員するのではなく、一般の若者や金銭的に困窮した一般市民を「使い捨ての駒」として犯罪に巻き込んでいます。
「荷物を運ぶだけの簡単作業」「1日10万円即日払い」「書類の受け取り代行」といった甘い言葉で、X(旧Twitter)やInstagramなどのSNS、求人掲示板に偽装広告が氾濫しています。応募した人間は、最初に身元確認と称して運転免許証やマイナンバーカードを持った自撮り写真、親兄弟の勤務先や実家の住所まで提出させられます。
「一度個人情報を握られたら最後、『逃げたら家族を皆殺しにする』『警察に行けばお前の人生も終わりだ』と脅迫され、抜け出せなくなった」——。強盗や詐欺の受け子として逮捕された若者たちの法廷での証言には、共通した恐怖の告白が並びます。現場に向かわされる実行役は数日〜数週間でほぼ確実に警察に検挙されますが、上層部にいる「指示役」には捜査の手が届きにくい構造が意図的に作り出されています。
さらに奪い取られた犯罪収益は、サイバー犯罪と暗号資産洗浄の手法によって瞬時に国境を越えます。被害者から振り込ませた資金は、即座に分散送金され、追跡が極めて困難なプライバシーコインや海外の無登録交換所、オンラインカジノを経由して洗浄されます。最新の捜査手法をあざ笑うかのように、デジタル空間を悪用した資金洗浄インフラが裏社会のシノギを強固に支えているのが冷酷な現実です。