納豆と乳製品を同時に摂る最大のメリットは、納豆菌と乳酸菌の相乗効果にあります。人間の消化器官において、胃酸や胆汁酸の攻撃をかいくぐって腸まで生きて届く善玉菌を育てることは極めて困難な作業です。しかし、この2つの菌を掛け合わせると、腸内でドラマチックな連鎖反応が巻き起こります。
第一のポイントは、納豆菌(Bacillus subtilis var. natto)の圧倒的な生命力です。納豆菌は「芽胞(がほう)」と呼ばれる強固な殻を形成するため、100℃の熱やpH1.2前後の強酸性である胃酸をものともせず、ほぼ100%生きたまま大腸まで到達します。そして腸内に達した納豆菌は、自らが定着して善玉菌として働くだけでなく、乳酸菌やビフィズス菌の大好物であるオリゴ糖や各種ビタミンB群を大量に産生し始めます。
一方、ヨーグルトやチーズに含まれる乳酸菌は、酸や胆汁に比較的弱く、生きて腸に届く割合が限られます。しかし、納豆菌が作り出した豊富な栄養素と低酸素の環境に守られることで、乳酸菌の生存率と増殖スピードは跳ね上がります。結果として、腸内環境で善玉菌を増やす方法として単独摂取をはるかに凌駕する繁殖効率が実現します。増殖した乳酸菌が乳酸を産生して腸内を適度な酸性に保つと、悪玉菌の増殖が抑えられ、善玉菌がさらに活動しやすくなるという好循環が完成します。
この菌同士の共生関係によって短鎖脂肪酸(酪酸や酢酸)の産生量が劇的に底上げされ、腸管のバリア機能強化、蠕動(ぜんどう)運動の活性化、そして免疫細胞の約70%が集中する腸内免疫の調整へと直結します。