ニュースなどで「CMギャラ1本5,000万円」と報じられると、視聴者はその大半がタレント個人の懐に入っていると錯覚しがちです。しかし、実際の金流は極めて複雑であり、タレントの手元に届く段階では大きく目減りしています。
まず、企業が広告予算として拠出する金額には、電通や博報堂といった大手広告代理店を介するための広告代理店マージン(通常15〜20%前後)が含まれます。代理店は競合調査、企画立案、媒体枠のバイイング、契約交渉を一括して担うため、この手数料が差し引かれます。
次に、残った契約金が所属芸能事務所に支払われますが、ここでの事務所取り分が非常に大きなウエイトを占めます。配分比率は事務所とのマネジメント契約形態(給与制か歩合制か)によって異なりますが、歩合制であっても事務所対タレントの比率は「5対5」から「6対4」、場合によっては「7対3」で事務所側が多く取るケースも珍しくありません。
一見すると事務所の取り分が多すぎるように映りますが、これには合理的な理由があります。事務所は日頃の営業活動や移動・警備の手配だけでなく、タレントがトラブルを起こした際の初期対応や訴訟リスク対応など、見えないインフラコストを一手に引き受けているからです。結果として、額面5,000万円の案件であっても、タレント本人の最終的な手取り額は税引き前で1,500万〜2,000万円程度に落ち着くのが業界の平均的な実態です。