インターネット上の育児掲示板やSNSを覗くと、「3歳までべったり一緒にいたのに引き離すのは親のエゴ」「すでにグループができている輪に放り込むのは不憫」といった心無い言葉が散見されます。こうした言説に直面した保護者が、自らを責めて孤立を深めてしまうケースが少なくありません。しかし、現場の保育士や小児発達の専門家が語る見解は、そうしたネット上の偏見とは真逆です。
発達心理学の領域において、母子分離と子どもの発達影響に関する研究は数十年にわたり蓄積されてきました。イギリスの精神分析学者ジョン・ボウルビィが提唱した愛着理論(アタッチメント)を盾に「母親が手元で育てるべき」と主張された時代もありましたが、現在の厚生労働省やこども家庭庁が公表する発達ガイドラインでは、3歳未満で培われた特定養育者との深い信頼関係こそが、集団生活へ力強く踏み出すための強固な土台になると実証されています。
実際、子どもは3歳前後を迎えると「平行遊び(隣で同じ遊びをする段階)」から「連合遊び・協同遊び(共通の目標や役割を持って遊ぶ段階)」へと劇的に移行します。言葉での自己表現が豊かになり、友達とのトラブルや交渉を通じて社会的知性を磨くこの時期に、プロの保育者が介在する集団生活に入ることは、発達上極めて自然なステップです。「かわいそう」という感情は、子ども自身の適応力を過小評価した親側の心理的投影に過ぎないケースが大半を占めています。