「治療済みなのにズキズキ痛む…?」と歯科クリニックへ駆け込む患者の多くが直面するのが、詰め物の下に潜む虫歯の急激な悪化です。虫歯治療で一度削った歯は、表面のエナメル質が失われ、刺激をダイレクトに受けやすい象牙質が露出した状態になっています。その上に人工の詰め物(インレー)を装着して密閉していますが、内部で細菌が再繁殖すると、天然の歯よりもはるかに脆い環境で病変が広がっていきます。
厄介なのは、詰め物の下の虫歯が痛くないまま進行する点です。初期から中期にかけては人工物で蓋をされているため、冷水や温水による温度刺激が神経に直接伝わりにくく、自覚症状が出にくい構造になっています。しかし、虫歯菌が象牙質を突破して歯髄に達した瞬間、急性歯髄炎を引き起こして拍動性の激痛(ズキズキとした激しい痛み)が発生します。
この段階まで達すると、詰め物の中の虫歯で神経を抜く処置(抜髄)が避けられなくなる可能性が跳ね上がります。神経を失った歯は血流による栄養供給が断たれ、枯れ木のように脆くなって破折リスクが急増します。さらに、すでに過去に神経を抜いて被せ物をしている歯の場合、内部で虫歯が再発しても痛みを感じず、根の先端に膿が溜まる根尖性歯周炎になって初めて根管治療の再発と激しい痛みに直面するという深刻なトラウマ構造を抱えています。