なぜ、これほどまでに親しまれていた漁港が閉鎖という厳しい判断を下すに至ったのでしょうか。米神漁港釣り禁止理由の核心には、伝統ある米神定置網漁の保全と、一部の釣り人が引き起こした深刻なマナー違反の蓄積が存在します。
米神地区は、相模湾でも屈指の規模を誇る定置網が沖合に敷設されていることで知られます。定置網漁船は早朝の暗いうちから出港・入港を繰り返し、数トン単位の水揚げを迅速に港内で処理します。しかし、過去には次のような重大なトラブルが頻発していました。
- 作業船の出入り口付近への無分別なキャストによる漁具やロープへの針掛かり・ルアーの絡まり
- 係留ロープや船体への無断立ち入り、および作業員に対する威嚇行為
- 水揚げ作業場に放置されたコマセ(撒き餌)の悪臭や、放置された釣り糸・ハリによる漁師の負傷
- 港内道路を塞ぐ違法駐車による、フォークリフトや鮮魚運搬トラックの通行妨害
漁港関係者の手記や当時の聞き取り記録によると、「注意をしても『海はみんなのものだ』と逆上されるケースが後を絶たず、仕事場としての安全が脅かされていた」という苦渋の告白が残されています。米神堤防立入制限は、漁業関係者の生業と人命を守るための最終防衛策として選択された必然の結果だったと言えます。