『彼女がその名を知らない鳥たち』や『スパイの妻』で見せたように、彼女は一筋縄ではいかない「嫌われ役」や「歪んだ愛」を抱える女性を好んで演じる。綺麗事だけではない、人間のドロドロとしたエゴや身勝手さをスクリーン上に晒すときの彼女は、神がかっているとさえ言える。
共演した俳優たちが口を揃えて語るのは、現場での彼女の冷徹なまでの客観性だ。役に没入しつつも、画面全体の構図やカメラの動きを完璧に把握している。感情に流されることなく、計算し尽くされた情動を画面に叩きつけるその姿勢は、職人としての誇りに満ちている。