学術的な珍字や古字ではなく、公立学校の教育や行政文書、新聞などで実際に使用が認められている「常用漢字」に絞ると、ランキングの顔ぶれは現実的な実用文字へと変化します。
文化庁が定める常用漢字表(全2,136字)において、常用漢字で一番画数が多い漢字は29画の「鬱(うつ)」です。2010年の常用漢字表改定に伴い追加され、それまで長年トップを守り続けていた23画の「鑑」を抜いて単独首位に躍り出ました。
常用漢字における画数上位の構成は以下の通りです。
- 第1位(29画):鬱(憂鬱、鬱蒼など)
- 第2位(23画):鑑(鑑定、鑑賞、図鑑など)
- 第3位(22画):驚(驚異、驚嘆)、襲(襲撃、世襲)、籠(籠城、蒸籠など ※音訓表外)
- 第6位(21画):艦(軍艦)、顧(顧客、回顧)、魔(魔法、悪魔)、鶴(千羽鶴 ※2010年追加)
- 第10位(20画):懸(懸念)、欄(欄外)、醸(醸造)、競(競争 ※旧字体扱いではない標準画数)
「鬱」という文字は、「木・缶・木・冖・鬯・彡」という極めて入り組んだ構成要素から成り立っており、精神的な鬱屈状態だけでなく「鬱蒼(うっそう)と茂る」のように生命力が密集する状態をも原義に含んでいます。手書きの難易度は常用漢字の中でも群を抜いており、漢字テストや資格試験の定番トピックとして親しまれています。