なぜ99段?雅叙園「百段階段」の謎と2026年最新の見どころを徹底解剖

なぜ99段?雅叙園「百段階段」の謎と2026年最新の見どころを徹底解剖

なぜ99段?雅叙園「百段階段」の謎と2026年最新の見どころを徹底解剖の具体的な内容に迫る! 専門的な視点でご紹介しています。

百段階段の本体は、東京都指定有形文化財に登録された木造建築であり、斜度のある目黒の崖沿いに沿って建てられた約69メートルにおよぶ階段廊下です。この階段で結ばれているのが、それぞれ独立した意匠を持つ7つの豪壮な宴会場です。各部屋の扉を開けるたび、異なる美意識の世界へと引き込まれます。

階段の下層から順に巡る7部屋の配置と特徴は以下の通りです。

  • 十畝の間(じっぽの間):日本画家・荒木十畝が描いた四季の花鳥画で天井一面が埋め尽くされた重厚な空間。黒漆塗りの枠と金地の天井画が見事な対比を描きます。
  • 漁樵の間(ぎょしょうの間):百段階段随一の絢爛さを誇る部屋。純金箔と極彩色の盛上木彫板で壁面が覆われ、欅の一枚板から彫り出された巨大な床柱には中国の伝説「漁樵問答」が立体的に刻まれています。菊池華秋による鮮麗な日本画が天井を彩ります。
  • 草丘の間(そうきゅうの間):礒部草丘による山水画が広がる和らぎの空間。秋田杉の格天井に四季折々の日本の原風景が描かれ、障子越しの自然光と調和します。
  • 静水の間(せいすいの間):橋本静水や奥田元宋ら、格調高い日本画の大家たちが手掛けた格天井と欄間絵が静謐な空気を醸し出します。
  • 星光の間(せいこうの間):板倉星光による四季の草花や鳥たちが愛らしく描かれ、数寄屋風の落ち着いた数寄の美を感じさせます。
  • 清方の間(きよかたの間):近代美人画の巨匠・鏑木清方が手がけた優美な世界。茶室風の侘びた造りの中に、洗練された女性像や四季折々の風情が繊細な筆致で息づいています。
  • 頂上の間(ちょうじょうの間):99段を登りきった終着点。松岡映丘門下の俊英画家たちによる花鳥画が格天井を飾り、昭和初期の絵画潮流の広がりを伝えます。

床柱の銘木選定から、建具に施された極小の螺鈿(らでん)細工、釘を一切見せない伝統工法に至るまで、当時の職人たちが一切の妥協を許さずに作り上げたディテールは、現代の建築現場では再現不可能とされる国宝級の価値を秘めています。

中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。