スーパーボウルに先駆けて仁王立ち演出が確立されたのが、1992年から1993年にかけて開催された「Dangerous World Tour(デンジャラス・ワールド・ツアー)」でした。このツアーにおけるオープニング演出は、まさにハイテク技術と身体能力の結晶でした。
ステージ床下から油圧システムで演者を瞬時に射出する装置、通称「トースター」によって、マイケルは火花とともにステージ上空へと打ち上げられます。着地した瞬間から寸分のブレもなく仁王立ちのポーズへと移行するこのアクションは、強靭な体幹と卓越したバランス感覚がなければ成立しません。
ツアーの各公演では、静止時間は2分から長いときには3分近くにも及びました。その間、マイケルは一切の表情を変えず、呼吸の乱れすら見せません。失神者が続出し、担架で次々と観客が運び出される異様な光景が世界各地のスタジアムで繰り広げられたことは、この演出の破壊力を如実に物語っています。