インターネット上の料理コミュニティやSNS(X、Instagram)を定点観測すると、実山椒の調理に関して毎年同じような悲鳴が上がっています。「下処理に半日費やして腰が痛くなった」「あく抜きしすぎてただの硬い青い粒になった」「子どもが一口食べて泣き出した」といった声です。
知恵袋などの相談プラットフォームでも、「小枝取りはどこまでやればいいのか」という疑問が圧倒的多数を占めます。実際に家庭料理教室で一般参加者の作業を観察すると、ミリ単位の微細な枝まで毛抜きや爪で1本ずつちぎり取ろうとし、1パック(約100g)の処理に2時間以上を費やして疲弊しているケースが目立ちます。
しかし、京都の料理関係者や佃煮職人の現場を取材すると、現実は大きく異なります。熟練の現場では「太い主枝は取り除くが、実に直結する細い小枝(果柄)は多少残っていても構わない」というのが常識です。加熱調理することで細い枝は柔らかくなり、繊維質として全く気にならなくなるためです。完璧を求めすぎるあまり挫折してしまうことこそが、最大の家庭内リスクと言えます。