日本テレビ放送網にとって、『笑点』は日曜夕方の視聴率戦争を制する絶対的な大黒柱である。それだけに、テレビ放送業界全体が注目したレギュラー交代は、視聴率の急落を招きかねない極めて危険な賭けでもあった。
しかし、制作陣の緻密なリニューアル戦略と木久扇の全面協力が見事に噛み合った。視聴者離れを防ぐどころか、若年層の新規流入を促す起爆剤へと転換させたのだ。伝統芸能を核に据えながらも、現代のスピード感に合わせたテンポの良い編集へとシフト。生前の桂歌丸や三遊亭円楽が築いた盤石の土台に、木久扇の勇退を機とした新たなエネルギーが注ぎ込まれた。
演芸というクラシックなジャンルが、激変するメディア環境の中でなぜ突出した強さを保ち続けられるのか。木久扇が去った後のスタジオには、時代とともに呼吸を変えながら生き延びる、テレビエンターテインメントの真髄が息づいている。