誰でも手軽に実施できる反面、進行を誤ると「気まずい沈黙」や「表面的な作業」で終わってしまうケースが少なくありません。多くのファシリテーターが陥りがちな3つの落とし穴を検証します。
第一の落とし穴は、「表層的すぎる共通項」の放置です。「全員が日本人」「全員が会社員」「全員が黒い靴を履いている」といった視覚情報や自明の事実ばかりが並ぶと、作業は早く終わっても心の距離は1ミリも縮まりません。これを防ぐためには、「目に見える共通点はカウント不可」「はい・いいえで終わらない問いを立てる」といった制約ルールを事前にアナウンスすることが不可欠です。
第二の落とし穴は、デリカシーを欠いたプライベートへの侵食です。打ち解けさせようとする焦りから、恋愛観、家庭環境、居住エリアの家賃相場、政治・宗教に関わるような話題に踏み込ませてしまうと、心理的安全性どころかハラスメントの温床になりかねません。「仕事の価値観」や「趣味・食のこだわり」など、誰もが不快感を抱かずに開示できるセーフゾーンを提示することがファシリテーターの義務です。
第三の落とし穴は、「数の勝負」だけに終始してしまうことです。制限時間内に20個見つけることだけに熱中し、互いのエピソードを深掘りする間がないまま終わる事例が散見されます。「最も意外だった共通点を1つ選んで全体発表する」という後半ステップを設けることで、数集めから「ストーリーの共有」へと質的な転換を図ることができます。