本事件の最大の特質は、物理的な鍵を使わない「心理的監禁」にある。いわゆるマインドコントロールの手口により、被害者らは自らの判断能力を奪われ、加害者の指示に従って互いを監視し合う関係へと変貌させられた。松永は自らの手を直接汚すことなく、被害者同士に暴力を振るわせることで、強い罪悪感と連帯責任を植え付けたのである。
福岡地方裁判所での公判では、この特異な心理的支配がどこまで個人の意志を奪ったかが徹底的に争われた。裁判所は、松永の残虐な通電暴行とマインドコントロールによって被害者らが絶対的な服従状態に置かれていたと認定。肉体的な拘束がなくても、逃亡不可能な「心の牢獄」が形成されていた事実を司法の場で明確に結論づけた。