筆記具の構造は歴史的に「右利きの横書き・縦書き」に最適化されて開発されてきました。そのため、左利きの人や骨格が未発達な子どもには特有の障壁が存在します。
まず、左利きペンの持ち方コツにおいて致命的な問題となるのが「押し書き」現象です。右利きはペン先を「引いて」走らせるのに対し、左利きは紙面にペン先を「押し込む」ベクトルの力が働きます。これにより、インクの出が悪くなったり、手や紙が汚れたり、文字が手で隠れて見えなくなるといった弊害が生じます。
左利き特有の悩みを打開するポイントは以下の3点です。
- 持ち位置を後ろに下げる:ペン先から通常よりやや長い約3.5〜4cmの位置をつまむことで、ペン先と書いた文字が手の陰に隠れず直視できるようになります。
- 紙を右へ傾ける:ノートや用紙を時計回りに20〜30度ほど傾けて配置します。これにより、手首を不自然に内側へ巻き込む「カギ針握り」を完全に防ぐことができます。
- 速乾性低粘度インクを選ぶ:摩擦抵抗の少ない油性エマルジョンインクや速乾性ゲルインクを採用し、押し書き特有の引っかかりを最小化させます。
一方、親を悩ませる子供のペンの持ち方直し方においては、「口うるさく注意しない」ことが最大の鉄則です。子どもがペンを握り込んでしまうのは、指先の筋力や協調運動が未熟だからです。そこで「持ち方がおかしい」「ちゃんとしなさい」と叱責すると、書くこと自体への拒絶反応を生んでしまいます。
有効なのは、環境と道具からのアプローチです。幼児期・低学年の段階では、軸が太く自然に3点支持ができる「三角鉛筆(2B〜4Bの柔らかい芯)」を与えたり、シリコン製のプニュグリップを装着して「指の置き場所ゲーム」として楽しませる手法が定着率を飛躍的に高めます。