階段を下りきった瞬間に目を奪われるのは、深みのある赤と艶やかな黒で統一された内装だ。フランス・パリの夜を象徴するムーラン・ルージュ、すなわち赤い風車を連想させる情熱的な装飾と、どこか退廃的でありながら気品に満ちたフレンチキャバレーの美学が、訪れる客の視界を支配する。
従来の昭和レトロな純喫茶や無機質なレトロカフェとは一線を画すこの空間デザインは、まるで映画のセットに迷い込んだかのような錯覚を生む。赤いベルベットのソファーに身を沈め、天井から注ぐ仄暗い照明を眺めていると、日常の煩わしさは瞬く間に霧散していく。